第40章  噛み殺された猟犬 


 ラザルス艦長バックマスター中佐は背後より現れた脅威に歯を噛み締めた。

「畜生、何てこった。やつら部隊を二分してやがった!」

 愚痴を言っても事態が好転するわけでもない。バックマスター中佐はMS隊を呼び戻すと共に、近くにいる艦を集めて防空戦闘を行うよう指示を飛ばした。
 ラザルスが迫り来るMA部隊に艦首を向けた頃には周囲にいた駆逐艦や損傷艦が集まってきて、どうにか戦うう態勢が整っていた。僅かに近くに残っていた直援MS部隊も駆けつけてきたので何とかやれるとかもという期待がわき起こってくる。

 突入してきたのはクライン大尉の率いているMA部隊で、ヴァルヴァロ改1機とビグロU10機で編成されている強力なものだ。突進力ではファマスでも随一だろう。
 クラインは狙いを付けた空母の周辺にMSが集まってきているのを見たが、特に気に留めなかった。

「MSか、90mmマシンガンじゃヴァルヴァロやビグロUの正面装甲は破れないぜ!」

 この時点では彼はまだ連邦軍に本格的な量産型ビームライフルが配備され始めている事を知らなかった。だが、幸いにしてエニーの迎撃部隊にはそれを装備したMSはほとんどいなかった。持って来なかったと言うより、ビームライフルより慣れ親んだマシンガンのほうをパイロット達が選んだからである。戦場においてはどうしても新兵器というものは敬遠されがちで、多少能力が劣っていても信頼できる従来の武器を好むのである。まあ、命を預けるのだから当然だ。いくら高性能でも、いざ戦場で故障しては洒落にもならない。
 そして、その事がクラインをいきなり戦死という事態から、いや、何もできずに部隊が壊滅という最悪の事態から逃れさせていた。
 ラザルスを守っていたのは機動艦隊のMS隊である。数こそ少ないが、機動艦隊の中でも優れていると認められたからこそ参加させられているパイロット達ばかりで、その戦力は2倍の敵を相手にしても恐れる必要はないと言い切れるほどだ。
 彼等の放ってきた砲火は狙い過たずヴァルヴァロ改やビグロUを直撃したのだが、その全てが被弾軽始に優れた機体形状と分厚い装甲の相乗効果の前に空しく兆弾となり、明後日の方向に弾かれている。こうなるとジムU隊に残されているのは接近して弾を叩き込むだけだった。だが、MAの機動性にMSが付いて行くのは容易ではない。それが分かっているからこそクライン達は平気でつっこんでこれるのだ。
 だがしかし、機動艦隊の誇る化け物パイロットの全てがラザルスを離れているわけではなかったのである。

 

 戦場から一歩退いた宙域で護衛のハイザック5機に守られ、狙撃用実体弾ライフルを構えていた名雪のジムスナイパーUであったが、ラザルスからの救援要請を受けて乱戦に向けていたライフルをMA部隊に向けなおした。実はこの時、名雪はホッとしていた。MS同士の乱戦の中での狙撃は著しく困難となる。目標が絶えず動き回ってるし、味方機がすぐ射線上に割り込んでくる。その分味方撃ちの危険が高くなるのだ。実際、名雪ほど名射手でも今までに4機の味方機を損傷させた事があるのだ。狙って撃ったわけではなく、射線上に味方が割り込んだ為に起こった事故である。幸いに撃墜にはならなかったが、パイロット一人が負傷して後送されている。
 そういう経験があるから、名雪は乱戦中の戦場で狙撃をしたくはなかった。いや、これはスナイパー全てに共通する心理だ。狙撃が最大の威力を発揮するのは乱戦前の前哨戦か、攻略が難しい地点への精密射撃である。
 突入してくるビグロUを照準に捕らえた名雪は薄く口元に笑みを浮かべ、トリガーを押した。ライフルから立て続けに三発の弾丸が撃ち出される。最近の名雪は一発ではなく、三発撃つようになっている。確実に敵を撃ち落す為という事もあるが、狙撃中隊が編成されたことでより遠くから撃つようになったので、命中精度を弾数で補うという計算もあった。今までは祐一の直属だったので、結構乱戦に巻きこまれていたのだ。
 ジムスナイパーUの照準装置には、ヴァルヴァロの赤いボディが映し出されていた。

 ヴァルヴァロを突進させていたクラインは、不意に感じた殺気に迷わず機体を横滑りさせた。NTならでは勘の良さと言うか、超感覚的なもので名雪に狙われている事に気付いたのだ。ヴァルヴァロがどいた空間をいくつもの火線が貫いて行く。
 この時、運の悪い事にクラインの背後に一機のビグロUがいたので、外れ弾は全てそのビグロUに全て命中してしまった。
 クラインはいきなり部下の一機が立て続けに直撃を受けて隊列から落伍していくのを見て戦慄した。

「何だ今のは、たった数発でビグロUが堕とされただと!?」

 敵がよほど貫通力の高いライフルを持ち、優れたスナイパーがそれを操っている事は容易に想像がついた。だが、それはクラインに限らず、全てのパイロットにとってもっと嫌な敵の1つである。スナイパーは戦場で最も忌み嫌われる存在の1つなのだ。
 クラインはすぐに決断した。このままっ真っ直ぐ突っ込むのは自殺だ。散るしかない。

「全機、散開して各個に敵に向かえ。MSとはあまりやり合うなよ。艦を沈めるんだ!」

 クラインの命令を受けてビグロUが一斉に散って行った。これで名雪も照準を外されてしまい、舌打ちしている。

「みんな気をつけて。何機かMS隊を突破してくるよ」

 MAが散開した以上、MS部隊の壁を突破して艦隊に突っ込んでくる奴が必ず何機が出る。それを経験で知っている名雪は部下たちに警戒を促したのだ。

 

 名雪達が交戦する少し前、ラザルスが危険に晒されている時、北川、佐祐理、天野、真琴の率いている中隊は敵MSとの戦いは開始しようとしていた。指揮を取っている北川は第一波に参加していなかったサイレン隊の香里と栞、中崎を指揮下に加えているが、彼等を振り向ける事は出来ない。何故なら、彼等の前にいるのは・・・・・・

「・・・・・・ヴァルキューレがあんなにいるだと」

 北川の顔が苦々しげに歪む。目の前にはMS隊の先頭に立つように4機のヴァルキューレがいたのだ。北川の苦渋は、一瞬の事であった。

「・・・・・・栞ちゃん、美坂、中崎、かなり無茶なお願いを頼まれてくれるか?」
「・・・・・・大体分かりますけどね」
「良いわよ、言って」
「断われるなら断わりたいなあ」

 三者三様の返事を聞いて、北川は僅かに緊張が解れた。

「済まないが、一人一機のシェイドMSがノルマだ。いいか」
「えう〜、やっぱりそれですか」
「サイレン本来の仕事よ、諦めなさい」
「俺は普通の人間なんだけどなあ」

 愚痴を言われたが、抗議は飛んでこない。やらなければならない事だと分かっているのだろう。北川は内心で三人に侘びると、全軍に命じた。

「全機突撃、いいか、生き残れよ!」


 北川達の前にいるのはアクシズ艦隊のMS部隊である。この部隊の奇妙なところは、シェイド部隊に明確な指揮官がいないという事である。通常部隊の指揮は広瀬真希中尉がとっているのだが、彼女はシェイド部隊の指揮権を持っていない。何とも奇妙な話だ。何故なら、シェイド部隊の指揮権はアヤウラからクルーガーに一時的に移されているからだ。啓介に移されていれば良かったのだが、啓介に与えられていた指揮権は通常部隊の指揮権だけなのだ。シェイド部隊が今だ実験部隊で、正規軍ではないという立場が状況の悪化に拍車をかけていたのである。更に言うなら、アクシズの持つ指揮系統の異常さがそものそも原因である。シェイド部隊とアクシズ艦隊の指揮権を持っていたのはアヤウラだったのだが、アヤウラを欠いた途端にこんな事になってしまったのだ。ワンマン組織の欠点だ。
 
 両軍はたちまち乱戦に突入した。香里と栞と中崎はなんとか3機のヴァルキューレを引き受けてくれている。そうなると残り2機はどうするのかという問題があるが、これはもう北川と佐祐理が頑張るしかなかった。
 だが、シェイドばかりに気を取られているが、アクシズ部隊にはまだ広瀬真希とガルタン・シーゴーというエースパイロットがいるのである。真琴は白兵戦には向かないからこの二人の相手は出来ない。
 だが、機動艦隊のパイロット達は洒落にならないほどに強かった。真琴率いる火力中隊の支援砲撃の威力も大きかった。真希とガルタンは久しぶりに戦う機動艦隊MSの強さに驚きを隠せなかった。

「ちょっと、何よこいつ等は!?」
「強ええ、ジムUなのに強すぎるぞ、こいつ等!」

 ジャギュアーに乗っている二人から見ても、襲い掛かってくるジムUの動きには全く隙がなかった。ただでさえ連邦最強と歌われる機動艦隊の中から特別に選りすぐられた最精鋭部隊だ。その戦闘能力は桁外れているといっても過言ではなかった。簡単に言うと、参加している全員が撃墜スコア5機以上のエースばかりなのだ。中には運が良い奴もいただろうが、その実力は生半可なものではない。デラーズ艦隊と違って将兵の質は今一つなアクシズの兵にはちと荷が勝ちすぎる相手だった。せっかくのガルバルディβやシュツーカが次々に撃ち落とされていく。

 このように一般兵同士の戦いは機動艦隊側優勢だったのだが、シェイド対サイレンの戦いは残念ながらそうでもなかった。未だにRガンダムを使っている香里と栞、そしてあゆのRガンダムを回してもらった中崎も苦戦しているが、より苦戦しているのはジムUの北川とジムカスタムの佐祐理である。

「ちっ、さすがに速いな。ロックなんかできねえか」
「北川さん、これじゃ手に負えませんよ!」

 北川の背後についた栞が鳴きそうな声を上げている。まあ、この状況では無理もあるまい。北川でさえ一瞬しか捕らえられないのだから。

「栞ちゃん、NTの予知能力で当てるとかできない!?」
「NTは超能力者じゃないです。勘が良いだけです・・・・・・・テレパス能力はあるかも知れませんが」
「せめて、郁美が出れればなあ、もう少し楽になるんだが」
「無い物ねだりしてもしょうがないですよ」
「そりゃ正論、だな!」

 北川のジムUがジムライフルを立て続けに撃ち放った。牽制のつもりで当てようと撃ったわけではない。当然ながらヴァルキューレには掠りもしなかった。もっとも、当たったとしても掠り傷にしかならなかったろう。ヴァルキューレの装甲にはジムライフルでも心許ない。
 栞と北川の周囲を回るように飛んでいるのはみさおと一弥のヴァルキューレだ。シェイドとしては弱い部類に入る二人が相手だから北川と栞は何とか持ち堪えている。もしこれが経験豊富な葉子や晴香だったら北川はともかく、栞は持たなかっただろう。

 このほかにも司は香里と、友里は佐祐理と中崎と天野で相手をしていた。特に司と香里の戦いは激しい。互いに一年戦争の頃から戦ってきたシェイドだけあって、その技量は一歩抜きん出ていた。北川や中崎も一年戦争上がりなのだがさすがにシェイドほどの機動はできない。栞はNTだし、本当は強いはずなのだが何故か北川より動きが鈍いように見える。
 逆に、この中で一番動きが悪いのが佐祐理だった。オールドタイプでしかも戦争後に軍に入ったので経験が少ないのだ。もともと指揮官としての能力を買われて隊長をしているのであって、パイロットとしての腕はカノンに四人いる大隊長の中では一番劣っている。

 香里のRガンダムと司のヴァルキューレの戦いは、香里が格闘戦を嫌った事もあってもっぱら撃ち合いに終始している。ずっと前に行われたエアーズ市上空戦で氷上と戦ったことのある香里は、ヴァルキューレと格闘戦をする愚を良く知っていた。パワーが違いすぎるので勝てるはずが無いのだ。
 香里はRガンダムの関節が焼き付かんばかりの機動を繰り返している。Rガンダムは標準でマグネット・コーティングが施されているが、香里のそれは摩擦を通常よりも減らし、極端に反応を速くしている。機動艦隊の中でも珍しいカスタム化された機体だが、それでもヴァルキューレには及ばない、はずなのだが、何故か香里は司のヴァルキューレと互角に近い勝負をしていた。
 香里が司と良い勝負が出来るわけは、司の体調にあった。香里と同じく第三世代シェイドの為の実験体という性格の強い第二世代シェイドに分類される司だが、彼は本来CALSS−Cの所を無理な強化を施す事でCALSS−Bにまで高められており、更に記憶操作まで施されているとあって著しく不安定になっているのだ。今回もその不安定さが彼を蝕ばみ、激痛に悩まされていた。

「ハア・・・ハア・・・チッ、この、くらいで・・・」

 司はどうして自分が戦っているのか、その理由が見つけられないでいた。かつては茜への復讐心を糧として生きてきた。だが、ファマスに来てから聞かされた数々の話で、茜への復讐心は方向性を失ってしまった。感情は未だに茜を憎悪しているが、理性が茜を恨むのは筋違いだといっている。本当に恨むべきなのは自分の記憶を弄んだ高槻だと。だが、高槻へ怒りを向ける事は出来なかった。おそらくそのように精神操作を施されているのだろう。
 この為、司の精神は蝕まれ、激しく疲労していたのだ。この変調もその疲労が原因なのだろう。
 司はこの体調不良と激しい疲労のおかげで十分な実力を発揮する事が出来ず、結果として香里は互角に戦うことが出来ている。何とも皮肉な話だ。

 

 戦場全体の様子を見ていた久瀬は、自分の手勢を乱戦に突っ込ませる事はしていなかった。見方が不利な所に援護に向かおうと考えていたからだが、久瀬の判断は結果として正しかった。アクシズ艦隊の部隊が完全に押されているのだ。それは久瀬の予想していた事であったが、驚きもまた強かった。

「シェイドが4人もいて押されるのか、機動艦隊のMS隊というのはそこまで強いのか」

 信じられない、と言いたそうに何度も頭を左右に振る。だが、それで現状が良くなるわけでもない。

「・・・・・・全機、アクシズ隊の援護に向かう。敵はあの機動艦隊のMS部隊だ。気を抜くな!」
「「「はいっ」」」

 久瀬を先頭にリシュリュー隊のMSがアクシズ隊の援護に入る。新たに1機のジャギュアーと2機のディバイナー改、そして4機のシュツーカの加入に戦場は再び混沌としてきた。
 リシュリュー隊を最初に見つけたのは北川だった。

「あいつは、まさかディバイナー改にジャギュアーか!」
「ディバイナー改って、もしかしてリシュリュー隊ですか!」

 栞の悲鳴が戦場に響き渡る。ファマス最強部隊の一つであるリシュリューMS隊は機動艦隊のパイロットから見ても恐ろしい敵だ。指揮官の久瀬隆之大尉の技量と指揮能力もさる事ながら、実戦経験豊富な二人のシェイドを抱えているからだ。ちなみに由衣の存在は完璧に無視されている。
 この新たな強敵の参入は戦場の行方を変えてしまいそうであった。

「久瀬さんですか!」
「参ったな、久瀬大尉が来たのか」

 佐祐理の声は悲痛であり、中崎のそれは困惑ぎみである。その二人の天野が切羽詰った声をかけた。

「お二人とも、ここはお願いします!」
「天野さん、何をするつもりですか!?」
「私が何機か連れて新手の相手をします!」
「無茶だ、久瀬大尉も、二人のシェイドも半端な強さじゃないんだぞ!」
「そんな事、言われなくても分かってます!」

 叩き付けるように言って、天野はジムUを久瀬達に向け、更に自分の部下たちに命令を飛ばした。

「第一、 第二小隊は私に続きなさい。真琴、援護を願いします!」
「え、援護って、ちょっと美汐、何考えてんのよ!?」

 真琴が珍しく無茶をしようとしている天野に驚いた声を上げる。真琴もこれまでの戦いで久瀬率いるリシュリュー隊の強さは骨身に染みて知っている。たった6機とはいえ、その強さは桁はずれている。サイレンならいざ知らず、たったの2個小隊で勝負が出来る相手ではない。まして自分はこの乱戦の支援砲撃をしているのだ。ただでさえ2個小隊が抜けた今、さらに戦力を引き抜いたら居間の優勢が崩れてしまう。
 真琴はコクピットの中で半瞬ほど暴れた後、苛立たしげに通信機に怒鳴りつけた。

「ああもうっ、後の指揮はバクシィに任せるわ。ボランヴィルは付いて来なさい!!」
「た、隊長!?」
「バクシィ、私が戻るまでちゃんとやりなさいよ!」

 慌てた声を上げるバクシィ中尉に駄目押しをして、真琴はボランヴィル少尉のジムキャノンUとともに乱戦を離れて行った。


 美汐が抜けた事で戦力的に不利になった北川達は集まって連携プレーで戦うようになった。もともとこちらの方が不利なのだ。Rガンダム3機にジムUとジムカスタム各1機というのはそれなりの戦力だが、敵はヴァルキューレが4機なのだ。
 自然と戦いは並みのNTよりも凄腕の北川と、シェイドである香里を中心に展開されていた。

「えう〜、私もNTですよ〜!」
「そうね、一応NTね」
「お姉ちゃん、なんですかその投げやりな言い方は!」
「二人とも、こんな時に姉妹コントは止めてくれ!」

 北川の焦りを含んだ怒鳴り声が通信機も壊れよと響き渡った。現在彼のジムUは2機のヴァルキューレを相手取って大苦戦中である。

「早く援護してくれ!」
「ああ、北川さん!」
「結構頑張るわね」

 悲鳴を上げる栞と、ちょっと感心した風な香里。早く助けてやれよと誰かが突っ込んでくれても良いのだが、さすがに誰も突っ込む余裕はなさそうだ。
 だが、北川と戦っている二人のシェイド、友里と司は北川以上に焦っていた。

「ちょっと、何よこのジムUは?」
「・・・・・・やるな」

 ヴァルキューレ2機を短時間とはいえ一人で支える北川は大したものだ。しかもジムUで。これがシアンや舞、七瀬ならまだ分かるのではあるが。さすがはカノンの燻し銀のエース、北川潤というところか。

 

 フォスターTではエニーからの救援要請を受け、慌てて艦隊が出向しようとしていた。アーレイ・バーク大佐に率いられた巡洋艦6隻、駆逐艦8隻が戦場へと向かっているが、間に合うかどうかは微妙なところだろう。
 リビックは自分の読みが甘かったとの自責に顔を顰めていた。参謀長のクルムキン大佐がその背中に躊躇いがちに声をかける。

「・・・・・・長官、今は、バーク大佐が間に合う事を祈りましょう」
「・・・・・・うむ・・・・・・そうだな」

 リビックはまだ苦渋に満ちた顔であったが、とりあえず窓際から離れ、長官用のデスクに戻った。

「もし、エニー少将を失うような事があれば、第三艦隊は後任が決まるまで動かす事ができなくなる。そんな事になれば火星侵攻作戦は重大な遅れをきたしかねない」
「・・・・・・もしもの場合に備え、第三艦隊の提督の人選、進めておきますか?」
「いや、どうせ間に合いはせんよ。それに・・・・・・」
「それに?」
「いや、何でも無い」

 リビックは言葉を濁した。現在の連邦軍にエニーに取って代れる人材はいない、と続けそうになったのだが、さすがにそれを口に出すのは憚られた。

 

 久瀬たちを迎撃に出た天野と真琴の部隊は、接触と同時に大苦戦に陥っていた。由衣を除く全員が天野よりも凄腕な上に、久瀬の指揮能力は天野よりも上なのだ。
 ジムUの性能をめいいっぱい引き出しながらも葉子のヴァルキューレに振りまわされてしまっている。

「分かってはいましたが、やはり振りまわされますか」

 ジムライフルの弾をばら撒きながら、その全てに空しく宙を切らせているヴァルキューレに苦々しい視線を叩きつけるが、視線だけでは敵機は堕とせない。
 だが、久瀬たちに天野たちを撃墜する意思は無いらしい。久瀬はアクシズ隊の援護に回りたいので、天野たちをさっさと振り切ろうとしていたのだ。

「だけど、これが中々突破させてくれない」

 戦闘中だというのにのほほんとした口調である。何故かというと、彼を直接攻撃してくる敵機がいないからだ。敵は全て葉子と晴香のヴァルキューレにかかりきりで、こちらには1機も来てくれない。

「楽ができて良いんだが、さてどうするか。僕等だけで先に行くかい、由衣?」
「え、ええと・・・・・・晴香さんたちは大丈夫でしょうか?」
「大丈夫だと思うよ、あの様子なら」

 二人で8機を翻弄しているのだ。放っておいても殺られる気遣いは無いだろう。そうなれば自分たちの仕事はアクシズ隊の援護だ。久瀬は乱戦を迂回してアクシズ隊の所に向い出した。
 当然その動きに天野も気付いたが、妨害できる状態ではなかった。

「くっ、このままでは・・・・・・」
「隊長、私が行きます!」
「ま、待ちなさい、千堂少尉!」

 天野が止める間もなく瞳のジムUが戦列を離れてしまった。慌てて追おうとするが、進路を遮るように撃ちこまれた火線に慌てて行き足を止めてしまう。

「あんたの相手は私よ!」
「邪魔しないで!」

 天野のジムUと晴香のヴァルキューレが凌ぎを削る。晴香は強いが天野は部下がいる。何より支援砲撃してくれてるのは百戦錬磨の真琴だ。

「美汐、あの娘行っちゃうわよ!」
「分かってますが、迂闊に背中を向けたら堕とされます!」
「あうう、こいつ、ちょこまかと動いてぇ!」

 ジムキャノンUのビームキャノンが次々に光の刃をたたき出すが、そのことごとくが空しく宙を抉るばかりで、何ら有効打を出していない。真琴にできる事は晴香の動きを妨害する事だけのようである。

 美汐が追えなかった事で立った一人で久瀬と由衣に立ち向かうという暴挙に出た瞳であったが、久瀬は瞳のジムUを脅威とはみなさなかった。

「・・・・・・ジムUが1機か・・・・・・このまま振り切るぞ!」
「私のシュツーカも新型ですからねえ」

 由衣が乗っているのは従来のシュツーカを更に強化したもので、D型と呼ばれるものだ。総合性能ではシュツーカの上位機であるブレッタをも凌いでいる。ただ、本格生産はまだ始まっておらず、由衣が乗っているのは生産されたばかりの初期ロットの1機にすぎない。    
この機体が開発された背景には戦争による技術の進歩もあるが、アクシズから高度な合金技術が提供された事が大きい。ガンダリウムβの更なる改良を進めているアクシズだが、それらのデータを実戦で得るよい機会とばかりにファマスに試作品を送り、ファマスはそれをもとにより優れたチタン・セラミック複合材を開発したのだ。ルナチタニウムほど強度も耐熱性も無いが、従来のチタン・セラミック複合材の2倍近い強度を持つこの新装甲材を採用したD型は、防御力を向上させながらも機体重量の減少に成功させたのだ。
 この為、D型は以前の型よりも航続力、加速性能、最高速度、運動性能、防御力の全てが向上するという画期的なMSとなったのだ。
 リシュリュー隊には由衣のそれを含めて、3機のシュツーカD型が配備されている。真っ直ぐ動けばジムUを振り切る事は可能のはずだったが、部下が2機、反転してそのジムUに向かっていった。

「何をしている、振り切れといったはずだぞ!」
「ジムUの1機くらい、すぐに堕として見せますよ」
「大尉達は先に行ってください、すぐに追いますから」

 久瀬の叱責も何処吹く風とばかりに部下の二人は行ってしまった。久瀬は声にならないうめきを漏らすと、しぶしぶそれを認めた。

「仕方ない、油断するんじゃないぞ」
「「了解」」

 離れていく2機の姿を後方監視モニターで確認すると、愛機を戦場へと加速させた。叱責はしたものの、彼もジムU1機にシュツーカD型が2機掛かりで不覚を取るとは思わなかったのだ。
 だが、離れて行った2機は二度と彼の前に姿を見せなかったのである。

 

 反転して自分に向かってきた2機のシュツーカを見て、瞳は少し残念そうな顔になった。

「2機ね、もう1機くらい来てくれると思ってたんだけど」

 彼女は3機のシュツーカを相手取るつもりだったのだ。いささか自身過剰という気もするが、彼女の実力はカノン隊の新兵の中では非常に優れていた。天野が経験を積ませる意味をかねて彼女を引っ張ってきたのも期待の現れである。
 だが、瞳には勝算があった。彼女のジムUは数少ないビームライフルを装備したジムUなのだ。多くのパイロットがボウワ社製のBR−S−85ビームライフルを信用せず、従来のジムライフルや90mmマシンガンを持ってきたのだが、彼女は試作段階からこのビームライフルに関ってきたという事もあり、この武器の信頼性、照準精度、攻撃力の高さを誰よりも良く知っていたのだ。
 後に連邦軍の標準ビームライフルとなるこの武器の、宇宙戦闘における初めての実戦投入であった。

「悪いけど、撃たせてもらうわね」

 ビームライフルを構え、シュツーカの1機に狙いを定める。向こうはまさかこっちがビームライフルを持ってるとは夢にも思うまい。そこが彼女の狙い所である。最初の何射かで1機を撃墜し、もう1機を全力で叩こうというのだ。
 彼女の狙いは当たった。シュツーカはジムUは90mmマシンガンで狙っていると思ったのだろう、回避運動さえとらずに向かってくる。これが、狙われたシュツーカのパイロットの運の尽きであった。
 ビームライフルから放たれたビームは正確に右側に居たシュツーカを捉えた。いかに重装甲でもビームの直撃にはそうそう耐えられない。特殊な処理を施していないMSが装甲だけでビームに耐えるには、GP−01級の装甲が必要となる。今の時代でそれを満たしているのは一部のワンオフ機を除けばジャギュアーとヴァルキューレ、ジム・フルバーニアンの3機だけである。
 僚機をいきなり失ったパイロットは、恐怖に震える声で呟いていた。

「ビ、ビーム砲だと・・・・・・」

 古参パイロットほどビーム兵器を敵に回した時に感じる恐怖が大きい。特にジオン系パイロットにその傾向が顕著だった。
 ビームライフルを持った敵を前にして動きを止めるのは自殺行為。多少でも実戦を経験した事のあるパイロットなら常識ともいえる事を忘れるほど、シュツーカのパイロットは我を忘れていた。
 瞳は反撃もしてこない、回避運動も行わないシュツーカの様子に不信げな視線を向けていたが、ビームライフルの照準を合わせるとトリガーに指をかけた。

「・・・・・・何考えてるのか知らないけど、バイバイ」

 

 全体的には連邦側不利で戦いは進んでいた。MA部隊に背後を突かれた事で後退もできなくなってしまった連邦艦隊は足を止めてうち続く消耗にただひたすら耐えていた。
 特に、僅かな護衛だけで後方に回された空母ラザルスの命運は尽きかけていると言えた。バックマスター中佐は神を呪う言葉を噛み潰しながら懸命に繰艦をしていたが、四方から突っ込んでくるMAの攻撃を避けつづける事はできず、何発かに捕まっていた。被弾する度に艦体の何処かしらが欠落し、何人、何十人かの乗組員が死んでいく。
 また直撃の振動が来た時、バックマスター艦長の肩を副長が叩いた。

「艦長、もう艦が持ちません!」
「・・・・・・機関出力も40%を切ったか。もう限界だな」

 しばし逡巡した後、バックマスター中佐は艦内通信機を取って命令を下した。

「総員退艦、繰り返す、総員退艦。もうこの艦は持たないっ!」

 総員退艦の命令を受け、今まで艦を救うべく奮闘していたダメコンチームは、今度は乗組員の逃げ道を確保するべく奮闘していた。
 その知らせは医務室にも伝わってきた。軍医の診察を受け、ベッドに横になっていた郁美は総員退艦の放送を聞いて上半身を起した。

「総員退艦って、一体どうなってるのよ」

 ベッドから降り、軍服の上着を羽織った郁美のもとに軍医が駆け込んできた。その顔は焦りを浮かべ、明らかに緊急事態を伺わせる。

「どうしたんです、先生?」
「早く医務室を出るんだ。もうこの艦は沈むぞ!」
「・・・・・・さっきからの振動は、やっぱり直撃弾だったんですね」

 状況を悟った郁美は軍医に先導されるままに医務室を出た後、二人で格納庫に向かった。格納庫ではすでにランチの準備がされており、乗組員が次々に乗りこんでいる。
 ふと視線を転じれば、整備用ハンガーにかけられた自分のアレックスUの姿があった。

「・・・・・・まだ、やれるよね」

 動きを止めた郁美の腕を軍医がつかんだ。

「何をしてるんだ少尉、急がないと艦と一緒に死ぬぞ!」
「先生、先に行ってください。私はMSで出ます」
「な・・・・・・馬鹿な、許可できん。君は私の話を聞いてなかったのか!?」

 軍医は取り乱して郁美の肩を掴んだ。かなり強く捕まれたので郁美は僅かに顔を顰めたが、その目には強い意思が宿っていた。

「まだ、大丈夫なんでしょう、先生」
「確かにまだ危険は少ないが、ゼロじゃないんだぞ。MSの操縦などという体に大きな負担のかかることを繰り返したりしたら・・・・・・」
「でも、外には敵がいるんです。MS無しじゃ危険過ぎますよ!」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 暫く軍医は郁美の瞳を除きこんでいたが、遂に諦めたのか、郁美の肩から手を離した。

「分かった、好きにしなさい。そのかわり、終わったら必ず私の所に来るんだ。いいね」
「すいません、先生」

 郁美は軍医に頭を下げると、パイロットルームに向かった。


 ラザルスから次々にランチが飛び出してくるのを見た名雪は驚いた。すでに敵MAに懐に入りこまれたので、もう狙撃用ライフルではなく90mmマシンガンで戦っている。当然ラザルスの傍で戦っているのであり、ラザルスがすでに大破ともいえる損害を受けている事は知っていたが、退艦しなくてはならない程だったとは。

「みんなを守らないと!」

 名雪が脱出してきたランチのカバーに入った。それにつられる形で護衛のハイザックたちもランチを守るように展開している。その周囲を我が物顔に飛びまわっているビグロU隊は一切の容赦を感じさせずにラザルスに攻撃を加えようとしていた。そのうちの何機かが脱出してきたランチにも向かってくる。
 だが、ランチに向かってきたビグロUの前に新たなMSが立ちはだかった。それを見てビグロUのパイロットは驚愕して機体を反転させてしまう。そのうちの一人が焦りを含んだ声で通信機に叫んだ。

「た、隊長、ガ、ガンダムタイプです。ガンダムタイプが出てきました!」

 ガンダムタイプのMSはジオン系パイロットにとっては恐怖の代名詞だ。白い悪魔、アムロ・レイの名と共に歴史に残っている白いMS、ガンダム。その強さは半ば誇張され、2年が過ぎた現在でもまるで都市伝説のように語り継がれていた。
 そして、目の前に現れたガンダムタイプは、その伝説を彷彿とさせるほどの強さを持って襲いかかってきた。

「人が居ないのをいい事に、好き勝手やってくれるじゃない!」

 郁美がビームライフルをビグロUに向け、ビームを放った。名雪ほどの腕は無い郁美だが、それでもその射撃は正確にビグロUを捕らえ、破壊した。

 

 バックマスター中佐がラザルスを放棄したという知らせを受けたオスマイヤー准将はしばし言うべき言葉が見つからず、沈黙していた。そして、たった一言だけ「そうか」と答えた。
 ラザルスの喪失はオスマイヤーにとってそれほどの衝撃だったのだ。1個大隊のMSを円滑に運用できるその性能は、連邦軍の将来において重要な位置付けを与えられたであろう物だった。それが初陣でいきなり一隻失われてしまったのだ。今後の連邦軍のMS運用に影響を与えかねない。下手をすれば空母という艦種の脆弱性について、またぞろ議論が沸き起こるかもしれないのだ。
 

 ラザルスの放棄を契機として、遂に連邦軍が崩れ始めた。艦隊が徐々に崩壊をはじめ、ファマス艦隊に押されて各艦が勝手に後退を始めている。そんな中でエニーのケントだけが頑固に踏みとどまっていた。

「誰が後退を許可したの。戻らせなさい!」
「無理です、回線が混乱して、呼び出しに応じません!」
「ちっ、どうしようもないって言うの・・・・・・」

 エニーは唇を噛んだ。指揮官として、部下を掌握しきれないとうのは屈辱でしかない。だが、ケントだけが踏みとどまっているという事は、必然的にケントが敵の砲火に晒されるという事だ。
 飛来するビームが艦を掠めるようになり、対ビーム榴散弾で応戦する事が増えてきている。
 そして、遂に直撃が出た。

「右舷上甲板に直撃!!」
「被害報告は後で良いわ。対処を急がせなさい!」
「続けてきます!」
「左に避けなさい!」

 もはやどうしようもない状況に追いこまれたケントだが、その正面にいきなり一隻のアキレウス級戦艦が割り込んできた。

「ペルモガンがっ!」
「何をしてるの、マレイ艦長を呼び出しなさい!」

 参謀長が悲鳴のような叫びを上げ、エニーは怒りを露にして通信士に命じたが、それが無駄である事はすぐに分かった。ケントを庇うように出てきたペルモガンの左側面に次々とビームとミサイルが突き刺さり、この艦をスクラップへと変えていく。短時間に20発を超す直撃弾を受けたペルモガンは誘爆の炎に包まれ、残骸へと変わっていった。
 それを目前で見せられたケントの艦橋クルー達は誰もが恐怖に引き攣った顔をしている。建造されて間も無い新鋭戦艦が一瞬で沈んでしまう。その現実を見せられたからだ。
 だが、恐怖に竦んでいるクルーをエニーが怒鳴りつけた。

「なにボケっとしてるの、戦いはまだ続いているのよっ!!」

 この中で唯一1週間戦争とルウム戦役を経験しているエニーは、艦など簡単の沈んでしまうものだという事を骨身に染みて知っている。生き残りたければ目の前の敵を倒すしかないのだ。呆けている暇など、戦場には無い。
 エニーの叱咤を受けて慌ててクルー達が仕事を再開する。それを確認して指揮官席に腰を下ろしたエニーは、声に出さずに呟いた。

『だけど、どうしろって言うのよ。もう戦力なんか、何処にも無いのよ』

 

 だが、残された戦力はあった。
 ティターンズと第一艦隊MS隊を相手にもはや勝利を確実なものにしようとしていた。浩平達は我が物顔で戦場を飛びまわり、連邦MSを破壊している。

「おーい、ここはもう良いだろ、アクシズの連中を助けに行こうぜ」
「そうだね、私達は向こうに行こうか」

 浩平の提案に瑞佳も頷いた。もうここには自分達は要らない。次の戦場に行くべきだった。
 誰もが勝ったと思っていたその時、いきなり1機のブレッタがビームの直撃を受けて爆散した。驚いた周囲のMSが回避運動を始めたが、続いて飛来してきた多数の奇妙な大型ミサイルを見て誰もが目を剥いた。あれはなんだ、と思ったのだ。
 だが、その大型ミサイルの側面からいきなり無数の子弾が飛び出したのを見て表情が凍りついた。慌てふためいて全速で逃げに入ったが、射程内に居てミサイルのシャワーを避けられた機体は多くは無かった。
 回避できたMSはミサイルが飛来してきた方向を見やり、しばらくしてそれを見つけた。

「なんだ、ありゃ?」
「MAみたいですね、最初に出ていった部隊が帰ってきたのでしょう」

 浩平の素っ頓狂な呟きに茜が冷静に応じたが、内心では舌打ちしていた。後一歩で完全勝利を手に出来たと言うのに、ここで厄介な敵が帰ってきたのだ。

「・・・・・・これで、今日は終わりですか」

 茜の呟きは、まさに正鵠を居ていた。シアンに命じられて大急ぎで引き返してきたキョウのハリファックス隊と祐一のジム・フルバーニアン隊がようやく戦場に到達したのだ。

 



人物紹介

バックマスター  中佐  41歳  
 ラザルス艦長。新規に建造されたラザルス級空母群の名誉ある一番艦の艦長に任命されるほどの艦長で、一年戦争では二度も乗艦を沈められた経験を持ちながら、その都度生還してきた運が良いのか悪いのか分からない男である。
 連邦初の本格的な大型MS母艦の艦長に据えられるだけあって、連邦では珍しいMS運用に豊富な経験を持つ人物でもある。



機体解説
MFD−02D シュツーカ
兵装   ビームライフル 又は 90mmマシンがン
     ビームサーベル×2
     110mm速射砲×2
     シュツルムファウスト×2
     シールド
<解説>
 シュツーカの発展型で、コスト的には同等ながらも、それまでのシュツーカをあらゆる面出上回る性能を持つ高性能機。新型のガンダリウム合金のデータを元に改良を施されたチタン・セラミック複合材を使用する事で機体性能を劇的に改善している。
 この機体に狂喜したファマス指導部はこの機体の生産に全力を傾ける決定をしている。

 



後書き
ジム改  前回登場したラザルスがいきなり沈んじゃいました。
瞳    ちょっと、私の活躍はどうしたのよ?
ジム改  おや瞳さん、一応出番あったでしょ?
瞳    あれが出番なの?
ジム改  シュツーカを2機も堕としたじゃない。地球のと合わせればスコアは5機だよ。
瞳    じゃあ、私もエース?
ジム改  エースだねえ。
瞳    そうなんだ〜・・・・・・て、そうじゃないでしょ!
ジム改  ちっ、誤魔化せなかったか。
瞳    次は出番あるんでしょうねえ!?

  手首輪でジム改を吊り上げてる瞳さん

ジム改  ぐ、おおお・・・・・・おおお
瞳    ねえ、どうなの?
ジム改  は、はい・・・・・・勿論・・・です・・・
瞳    そう、命を拾ったわね。

  ドサッ

ジム改  ふう、酷い目にあった。
瞳    自業自得よ。


 

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